
重なり合う時、触れる吐息 (2)
注意:このSSは聖×静です。しかも両思い甘甘です。石投げちゃいやーん(^^;;
冬の夕暮れ。
外はもう真っ暗で、一歩先は底知れぬ闇につながっているような感じの、空。
ふたりの吐く息が、闇に吸い込まれては消えていく。
どことなく孤独になって、お互いの手を求めた。
結局図書館で長居してしまった。
隣りを歩く聖はどこか遠くを見ているような眼をして時折静のほうを見つめてくる。
その視線があまりに寂しそうで、静はつないだ手に力を込めた。
二人が一緒に帰る時は、なぜか決まってマリア様の前を無言で通り抜ける。
そうすることで聖がどこかほっとしているのを静はわかっていたから。
「そういえばさ。学食に、おでんがあったらいいなって思わない?」
マリア様の前を通り過ぎたところでいきなり聖がそんなことを言う。
張り詰めていた気が緩んだのか、それともただ単にお腹が空いたかかのどちらだろう。
ひょっとしたら、両方かもしれないが。
「おでん…ですか」
「前に山百合会でそのことを審議しようとしたら一瞬で却下されたけどね」
「そうお思いになること自体が白薔薇さまというか……」
「どういう意味?あー、私が食い意地張ってるって言うの〜?」
「そうかもしれませんね」
ちょっと意地悪く笑ってみせる静。
「もう、静」
「なんですか?」
ここで祐巳相手だと聖は「食べちゃう」と続ける…がさすがに言わないようだ。
(もしそんなことを言われたら「どうぞ」と返してやろうと静は密かに思っている。)
「……なんでもない」
「そうですか」
すねた顔も、素敵だ。
夜道、静に聞く。
「遊園地、何で行く?車と、電車と、バスがあるけど」
「白薔薇さま、免許もってらしたんですか」
「うん。一応18歳になったからね」
どこかに行きたかったのだ、聖は。自由に、どこか遠くへ。
車は、その手段の一つに過ぎない。
現実は向かい合うにはまだ辛く、逃げるにはあまりにも聖は多くのものを得てしまっているがために。
「……だから、大学生…なのかな」
「進路ですか?」
「え、ああ……うん」
口から出ていたとは気づかなかった。どうやら、相当静に安堵感を抱いているらしい。
「まだ将来ってピンとこなくてね。だから、って」
静の瞳が自分に注がれていることはわかっていたがなんとなく目線をそらしたままで言う。
合わせただけで聖の心の奥を見抜いてしまうかもしれないから。
「そうですか…でも、それも一つの道じゃありませんか?以前、私におっしゃったじゃないですか。
『どんなに道があっても、一つしか進めないよ』って。
確かにそうだなって最近特に思うんです。それから、こう思うこともあります。
『全ては必然』なんだって。だから、白薔薇さまがその道を選んだことも、きっと」
「静…」
「いつか、『よかった』って思うことがあるかもしれませんよ」
名前そのままに静かに微笑む目の前の静を聖はしばらく見つめた。
「……静と、こうしていることも?」
「ええ」
暗い道を寄り添うようにして歩く二人。
沈黙が少しあたりを支配する。
「でも、静は…」
……イタリアに、行くんでしょう?
聖は最後まで言うことが出来なかった。意識が、拒んだのだ。
しかし、静には全て見抜かれてしまって。
「白薔薇さま…」
静は足を止めてしまった聖を見上げる。
聖はとても悲しげな目をしていた。傷つくでもなく、淋しがるでもなく。
この人を置いてまでなぜ自分がイタリアに行こうと思うのか、静にははっきりとは分からない。
でも放っておけなくて、せめて安心してもらえたらと精一杯微笑む。
「でも……いまは、ここにいます」
「……うん」
自分のことを知りすぎて、心配してくれる人たちの前では出来ない表情を聖は静に向ける。
しかし、それは一体どうなのだろうか。
ひょっとしたら。
もしかしたら。
静の思い上がりではなく、聖は静がそばにいることでいつまでも自分のことを心配してくれる人たちの前で、
(無意識にしても)強がっていてはいけないようになるのではないだろうか……。
「私は白薔薇さまが、好きですよ」
半ば頭をなでるように髪に触れる。
「静、私だって…」
きっと聖は「私だって好きだ」と言いたかったのだろう。
しかし、静はそれを己の唇でふさいだ。
私は、もうすぐいなくなってしまうから。
そして、いつか『よかった』と思う日がくるから。
「静……」
聖は静によって飲み込まれた言葉を、抱きしめることによって伝えようとした。
静も、抱きしめ返すことによって伝えようとした。
互いに強く抱き合ったまま、何度も何度も、口付けをかわした。
→続く
言い訳…まだまだ途中編(泣)
ちょっとばかし甘甘から遠ざかってしまいました(−−;;
(でも前半甘甘じゃないですか?えッ?違う!?)
内容についての言い訳は(感想・批評があったらその都度)掲示板で、
及び完結してからってことで…(泣)
もう、書いてるうちに収拾つかなくなってきて…白薔薇さまが…あああ!(困惑)
つーわけで次回に続く…すいません、すいませんm(T−T)m
2000.5.29.神月