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桂さん秘話4

(これは桂さん秘話3のあとの話です)

 

バレンタイン当日。

祐巳達が血眼になって、それこそにわかジェームスボンドを演じたり

必殺畳返しとかやったり図書館の本を片っ端から破壊していったりとかしていた時、

桂さんはどうしていたのかというと。

 

最愛のお姉さまと、宝捜しゲーをやっていたのだ!!

 

事の発端は早朝のテニスバトルの後。

お姉さまは、優しい表情で隣に寝ている桂さんの乱れた息を整えるかのように

ゆっくりと髪をなでていた。(ちなみに二人は…桂さん秘話3参照。ハズカシッ!)

「お姉さま…」

うるんだ瞳で見上げる桂さん。

そんな様子にちょっとときめきながら、お姉さまはふふ、と笑った。

「私、実は桂に黙ってた事があるの」

「え、何ですか?」

「二人で宝捜しゲームをしたくて、こっそり隠してきたの。二人の、思いでの額縁を…」

「…えッ!?」

 

時は秋にさかのぼる。

二人は、文化祭の時学内対抗のダブルス大会(テニス部主催)に

ラブラブしすたーずタイプE』として参加した。

その時、もちろん愛のパワーで優勝したわけだが、せっかく貰った賞状だから、と

お姉さまが額縁に入れて飾ろうと言い出した。

当然二人で買いに行く事になり、デートしたのだった。

お姉さまは相変わらずの素晴らしいセンスをもって

『冠婚葬祭にも使えます!万能額縁豪華版リミックスアルティメットスペシャル』という

総大理石使用の三〇センチ×三〇センチの重さ3.5キログラムの物を選んだ。

桂さんの提案で賞状の裏には手紙が隠されている。

「桂、いつか二人で手紙を読みましょうね」

「はい、お姉さま」

空には天高く馬肥ゆる秋って感じに雲が広がっていた…。

 

「あの額縁ですか!?」

「あら、いけなかった?」

「いえ、それは…私はお姉さまがそうお望みなら…」

「じゃあ、放課後、テニスコートに集合ね。」

 

というわけで。

放課後、薔薇の館とは離れた所にあるテニスコートに桂さんは立っていた。

良く見ると、ネットのあたりに牛乳パックに赤と白の色を塗ったような物体がぶら下がっている。

「あら、これは…?」

手紙が付いている。表側に『桂へ』と書いてあったので開いて読んだ。

『桂へ

 オリエンテーリング形式にしてみたわ。

 キーワードを集めると額縁の場所がわかるようになっているの。

 あなたが来るのを心から待ってます。』

中からは、手紙のほかに方位磁石とリリアン学園の地図が出てきた。

地図を見ると、テニスコートに『第一チェックポイント』とある。

「いそがなくちゃ…お姉さまが待ってる」

桂さんは走り出した。

 

数十分後。

「るんるんるん」

桂さんはトイレに入ると、思わず鼻歌を歌っている自分に気づいた。

しかも、その曲名は『テニス部応援歌・先輩素敵です』だ。

それも仕方ないと言えよう。

「あと一つはここにあるはず…」

オリエンテーリングは至極簡単なもので、例えば

『お姉さまの好きな場所は』とか(答え:百葉箱)

『お姉さまが普段食べている学食のメニューは』とか(答え:七色うぐいすパン)

といったような桂さんには常識と言えるものだった。

ついでだからとトイレに入っていると、祐巳さんが窓ガラスを音もなく叩き割って

「何事!?」と出ていくと

その後何処に持っていたのか変えのガラスをはめ込んで鍵をかけたのを

桂さんは見た。

「祐巳さん、なにやっているの」

スパイ大作戦、かな

祐巳さんが言う事には、宝を捜し求める人に命を狙われていたという。

「で、当の宝は」

「まだ」

秘密にしててね、と言うが早いか、祐巳さんは窓を少しだけ開けて周りの様子を伺った。

「よっこらしょ」

しかし、そう言いつつその動作は一部の隙もない。

祐巳さんは確かに危険な匂いがした。だから、桂さんも何も言わなかった。

「私が出たら、ここであったことは全て忘れて。お願いね」

音もなく脱出する祐巳さん。

「………」

桂さんはオリエンテーリングを再開する事にした。

ヒントを見ると、『私がいつも入るのは何番目』とあった。

桂さんは当然分かっている。四番目だ。

お姉さまは、いつか「花子さんに会いたい」と言っていたから。

最後のキーワードは、「ょ」。

『私と桂が初めて会った場所』

お姉さまはそこにいる。

 

冬の風に身をさらしながら、お姉さまは桂さんを待っていた。

額縁をネットにこっそりとかけて、草むらから迷彩色のスコートを着て。

やがて桂さんが現れ、額縁を発見したようだった。

3.5キロのそれには、お姉さまからのバレンタインデーのプレゼントがつけてあった。

「あ、お姉さま!」

「ふふ、待ってたわよ桂」

桂さんはプレゼントに気づいた。

「これは…これは、幻のラケット『エースを狙え』!?

「そう。私が自分のお姉さまに頂いた伝説のラケット。あなたに譲るわ」

「そんな…私には、まだ無理です!」

「桂なら出来るわ。私が保証する」

「でも……」

ちなみに、『エースを狙え』ラケットは重さが通常の10倍である。

「ほら、もって!行くわよ、桂!私の必殺サーブ、受けてみなさいッ!!」

「えッ…は、はいッ!」

すぱーん!

弾丸のようなサーブが桂さんのボディめがけて打たれた!当たればただでは済まない!

桂さんは『エースを狙え』をぐっと握ると思いきりスイング!

風が巻き起こり、ネットを振るわせ、弾丸サーブすらも減速させる!

お姉さまの愛、確かに受け取りました――ッ!

ずぱ――ん!

 

それは、まるで光のようなスピードだったとある人は言う。

またある人は、天上の光を放っていたとも言う。

 

テニスによってはぐぐまれた二人の愛は、

こうしてバレンタインデーをも無敵に光り輝いていた……

 

おわり


後書きと言う名の言い訳

だんだん書いてるうちに訳がわからなくなってきて(^^;

平凡な桂さんになってしまいました。(どこがだ)

こう、何と言いますか、あまりにも出番の少ない桂さんの

ちょっとした動作がとても気になります。例えば、なんでそんなに早耳なのか、とか。

実は桂さん秘話はもう一本あったのですが、

ちょっとまだ気に入らないのでアップ出来ないんです。ふゥ。

っていうかただ単に書きあがらないってだけかもしれませんが(汗)

ここまで読んでいただきまして、誠にありがとうございました。

2000.5.16.神月

 

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